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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「勃興アジア・フィンテック」 (上)

決済サービス 中印、電子商取引が牽引

東南アジアは配車サービスから拡大へ

真鍋 和也 (研究生)
   
上原 正詩
  主任研究員

2018/10/18

 情報技術(IT)を使って金融サービスを提供する「フィンテック」が社会を変えるとして注目を集めている。2017年には世界での関連投資が3兆円を突破し、評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ「ユニコーン」もこれまで30社以上誕生した。日本の状況を見ると、投資額は世界の1%にも満たない。現金を使わずに買い物をするキャッシュレス決済が話題とはなっているが、日本だけを取り上げてフィンテックを十分に論じるのは難しい。本シリーズでは、フィンテックで先行する中国とインドをはじめアジア全体に視野を広げ、全3回に渡って主要3分野(決済、融資、資産運用)の現状を整理する。個別のフィンテック企業を紹介しつつ、これまで主流だった銀行など既存の金融ビジネスに比べ、何が革新的かなどを考察する。
 (上)は分野別でみて消費者のサービス利用率が最も高い「決済」。中国、インドが電子商取引の進展などを背景に決済のデジタル化でリード。東南アジアではタクシーの配車サービスが存在感を高めているなど、異業種からの参入が活発だ。

【(上)のポイント】

  • 金融と情報技術(IT)が融合した「フィンテック」がアジアでも盛んになっている。特に銀行口座を持たない人でも、商品の支払いがスマートフォンなどでできる決済サービスが注目だ。
  • アジアでリードするのが中国とインド。中国は電子商取引から派生したサービスが、インドは携帯電話料金のチャージから展開した企業などがリードする。
  • 一方、東南アジアでは配車サービス企業が決済サービスの主役になりつつあり、電子商取引などにも展開する。中印とは異なる様相を見せている。