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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「2022年、注目のユニコーン都市」 (5)

中国3都市、製造系スタートアップが牽引

―上海は半導体・自動車、深圳はスマート製造など

上原 正詩
  主任研究員

2022/03/15

 中国は米国に次ぐユニコーン輩出国である。最大の輩出都市は北京で、上海、深圳が続き、いずれも世界トップ10に入る。ユニコーン輩出潜在力の都市ランキングでは米国主要都市やテルアビブなどの後塵を拝し、トップ10には入らなかった。コロナ前からユニコーンだった企業が「卒業」せず、他の都市に比べて新規ユニコーンの比率も低かったためである。とはいえ新たにユニコーン・リストに加わった企業の絶対数は多く、各都市のスタートアップ生態系もコロナ禍前とは変化している。潜在力で12位の上海、15位の深圳、14位の北京の生態系について紹介する。

【ポイント】

  1. 潜在力12位の上海は半導体や自動車関連のハード系が集まる。GPU(画像処理半導体)のバイレン・テクノロジー(壁仞科技)、自動運転車の目「LiDAR(ライダー)」のフーサイ(禾賽科技)などだ。新薬開発など医療系も目立ち、地元VC啓明創投(チミン・ベンチャー・パートナーズ)が積極的に支援する。
  2. 15位の深圳はハード系の集積が際立つ。電気自動車用半導体のBYDセミコンダクター(比亜迪半導体)、画像認識AIを使ったスマート製造のスマートモア(思謀科技)などだ。地元VCパイン・キャピタル・パートナーズ(松禾資本管理)と深圳キャピタル・グループ(深圳市創新投資集団)が生態系形成に貢献している。
  3. 14位の北京は人工知能(AI)関連が目立つ。AIチップのホライゾン・ロボティクス(地平線机器人科技)、AIチャットボットのシャオアイス(小氷)などだ。セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本)、IDG資本(IDGキャピタル)、高瓴資本(ヒルハウス・キャピタル・グループ)の北京VC3社は北京だけでなく、上海、深圳でも活発に活躍する。