地球温暖化防止、脱炭素社会の実現の流れの中で、エネルギー関連スタートアップへのVC投資はここ数年、増加傾向にある。ロシアによるウクライナ侵攻で、石油や天然ガスなどエネルギー価格が高騰する中、代替エネルギー関連企業へのベンチャーキャピタル(VC)投資が今後も増加することが見込まれる。
【ポイント】
- エネルギー関連企業へのベンチャーキャピタル(VC)投資が増加傾向にあり、エネルギー価格が高騰する中、今後も増える見通し。2021年以降を見ると、電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池メーカー、スウェーデンのノースボルト(ストックホルム)の資金調達が目立つ。中国の蜂巣能源科技(SVOLTエナジー・テクノロジー)(江蘇省常州市)も追い上げる。
- 米国では核融合発電関連のスタートアップに脚光が集まる。コモンウェルス・フュージョン・システムズ(ボストン)はマイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏など、ヘリオン・エナジー(ワシントン州シアトル近郊のエベレット)はペイパル創業者ピーター・ティール氏のVCなどから投資を受けた。
- 二酸化炭素(CO2)を直接削減するビジネスに取り組むスタートアップも目立つ。空気中のCO2を固定・回収する事業に取り組むスイスのクライムワークス(チューリッヒ)や、原油採掘時に出る副産物の天然ガスの削減を手掛ける米クルーソー・エナジー・システムズ(デンバー)などだ。
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