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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「香港『ライズ』に見るテクノ地政学」 (中)

中国、ネット世界で独自の生態系構築

――脱模倣へ、5GやAIなど社会実装で先行

上原 正詩
  アジア予測室長兼主任研究員

2019/08/16

 香港のテックイベント「ライズ」では昨年から、ベンチャーキャピタリストの楊佩珊(イーディス・ヤン)氏と香港英字紙「サウス・チャイナモーニング・ポスト」及びその中国テック報道部門「アバカス」が共同作成した「中国インターネットレポート」を公表している 。楊氏は米500スタートアップスのパートナーで、ブロックチェーン投資専門のプルーフ・オブ・キャピタルのマネージング・パートナーも兼務し、投資家の視点から中国のネット関連の最新トレンドを追いかけている。米クライナー・パーキンス(KPCB)の元パートナー、メアリー・ミーカー氏(現ボンド・キャピタル)が毎年公表し注目を集めている「インターネットトレンズ」の中国版といったイメージだ 。
 今年もイベント2日目に同レポートの最新版「中国インターネットレポート 2019」を発表した。シリーズ企画(中)ではレポートを参考にしつつ、中国のテクノ事情をレポートする。

主要な5G特許保有企業

【(中)のポイント】

  1. 中国はその巨大な国内市場を背景に、インターネットの世界で独自の生態系を構築している。米国企業を中心とする生態系とは似て非なるパラレルワールド(平行宇宙)が形成されつつある。
  2. 中国のネット世界は米国の模倣が大半だが、最近では「模倣する側から模倣される側」になりつつある。例えば「スーパーアプリ」や短編動画アプリなどだ。
  3. 次世代通信網「5G」でも中国も主要都市で試験運用を進め、秋には約40都市で商業サービスが始まる見通し。これは米国の倍近い都市数だ。
  4. 監視や顔認証システムなど人工知能(AI)技術でも社会実装で進んでいる。自動運転技術の実証でも米国を急速に追い上げ、米国を舞台に中国企業が積極的に研究を進めている。
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