日本経済研究センター経済予測班では、経済予測・分析の中で見えたトピックスに焦点を絞ったリポート、「経済百葉箱」を創刊します。経済はしばしば気象にたとえられますが、「百葉箱」はご存知のように、気温や湿度を正確に測定するための箱であり、「観測」の原点となる存在です。本リポートは随時掲載します。
13年5月、米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長による量的緩和第3弾(QE3)の年内縮小への言及を機にリスクマネーの縮小懸念が強まり、新興国売り(通貨安、株安、長期金利高)が発生。この先、リーマン・ショック、欧州債務危機に続く第3の新興国ショックが起きるのか。本稿では、新興国に対する資金フローに焦点を当て、検証する。▼ ポイント ▼●13年5月下旬からのFRBの資産買い入れプログラム縮小(Tapering)観測に伴う新興国からの資金流出の規模は、リーマン・ショック時より小さいが、欧州債務危機(米国債格下げ)時より大きい。新興国の経済成長の減速、資金の先進国への逆流が影響している可能性が高い。●また、投資家による新興国間の選別も進んでいる。こうした選別は、特に経常収支赤字の度合いや外貨準備の多寡を材料に行われている可能性が高い。●現在、新興国からの資金流出は一服しているが、経常収支赤字が続くインドネシア、ブラジル、インド、そして足元で経常収支赤字が定着しつつあるタイでは、米国の金融緩和政策の縮小にともなう波乱リスクが引き続き高いと考えられる。●今のところ、豊富な外貨準備や国際的な流動性供給プログラムにより、金融危機に発展する可能性は低いが、構造問題への取り組みが先送りされれば、通貨危機発生のリスクが次第に高まって行く可能性には留意が必要だ。