日本経済研究センター経済予測班では、経済予測・分析の中で見えたトピックスに焦点を絞ったリポート、「経済百葉箱」を創刊します。経済はしばしば気象にたとえられますが、「百葉箱」はご存知のように、気温や湿度を正確に測定するための箱であり、「観測」の原点となる存在です。本リポートは随時掲載します。
昨年来、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は大方の予想を上回る上昇を続け、2014年1月には前年比プラス1.3%と、08年後半以来の高い伸びを記録した。ただし、これが日本銀行の想定する予想インフレ率の上振れを通じた上昇かどうかは意見が分かれる。金融政策はどのような経路を通じて物価上昇に波及しているのか、時系列分析等で検証する。▼ポイント▼●いわゆる「包括緩和」が実施された2010年10月以降、金融市場から見た予想インフレ率(ブレーク・イーブン・インフレ率)の上昇が円安を促し、その結果消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、以下CPIコア)物価の上昇に波及したことが分かった。●一方、マネタリーベースの増加が直接CPIコアを上昇させる、あるいは予想インフレ率に波及してCPIを上昇させる、といった経路は見出せなかった。●昨年4月に日銀が打ち出した量的・質的金融緩和(QQE)、あるいは一昨年12月のアベノミクス登場後の急激な円高修正は、極端な金融緩和を行うとのアナウンスメントが、市場に心理的ショックを与えた可能性がある、とIMFのレポートにもある。●いずれにせよ、円安を背景とする輸入物価上昇というコストプッシュ型の物価押し上げ効果は、円安が落ち着けば剥落する。また、金融政策に係るアナウンスメント効果で心理的ショックを市場に与え続けることも難しい。●やはり、生産・所得・支出の前向きの循環が働く下で、家計の物価見通しが自律的に上向くことが重要であり、QQEといういわば「時間を買う政策」が有効なうちに大胆な成長戦略を打ち出し、着実に実行して行くことが求められる。